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TOP百合ヒバツナ恋の歌 恋する十字架2


恋の歌 恋する十字架2
百合ヒバツナ「恋の歌」
オフで完結済み。完売後再録集に番外と一緒に収録。
再録集のお取り扱いはバードEXになります。
こちらはweb版となります。


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彼女がどこにいるのか、雲雀にはすぐにわかった。
建物の上、ニセモノの風が吹き抜け、空を見上げるのにいい場所。そこから、歌声が、響いていた。
声のするほうに行くと、彼女は遠くの空を見上げて歌っていた。
とても見晴らしのよいその場所は風が強く、ぶわりと雲雀の髪を巻き上げたが気にならなかった。

優しい歌。
透明で澄んだ綺麗な声音。
でもどこかさみしそうの歌声。

どうしてそんな悲しくて、さみしくて、せつないような声で歌うのだろうか。
雲雀が出会った時に聞いた彼女の歌声はうきうきとして心躍る楽しげなものだった。聞いているこちらまで楽しい気分になるような歌。彼女には、そんな歌の方が似合っている。
何が彼女の愁いになっているのだろうか。
雲雀は歌う彼女の後ろ姿を見つめる。
細くて、小さな少女。
喜怒哀楽が激しくて、とても可愛い生き物。
驚いた時に元気よく跳ねる髪、生クリームに似た肌を薄紅に染めながら雲雀の事を語った。実に楽しそうに。そう、あの時まで、彼女は確かにいきいきとして楽しそうだった。雲雀恭弥のコンサートに行けるのだと自慢して、すごく楽しみで今から眠れないと言っていた。
さみしくて悲しい、せつない声でうたう少女。
その背中を見つめていたら、ふいに抱きしめたい衝動にかられる。
不思議だ。
誰かを抱きしめたいなんて思った事などなかったのに、この少女に限っては抱きしめてみたいなんて思ってしまう。この間会った時もそう思った。気の迷いかと思って放置してみたが、抱きしめたいとか、触れたいとか、そんな気持ちは日が経つにつれてどんどん膨らんでいく。
雲雀は足音を立てず、気配を消して歌う少女に近づいた。
小さな少女の真後ろに立って、少女が見つめる光景を目にする。
彼女の目線の先にあるのは、青い空。
ニセモノの空を見つめ、彼女は何を思い歌っているのだろうか。
落ち着いた優しい、でもせつなく苦しい歌を聞きながら、雲雀は彼女が歌い終わるのを待った。
瞳を閉じて、雲雀は歌に聞き入る。自分の造った曲を、彼女が歌っている。その事実にぞくぞくした。とてもいい気分。
じっと聴いていると、心地よい声を紡ぎ出す少女が最後の一音を吐き出した。
彼女が歌い終わったその瞬間、雲雀は小さな少女の後ろから、その華奢な身体を抱きしめていた。
ばふん、と音を立てて腕の中に納まる抱き心地よいからだ。
ふんわりと香るのはシャンプーの香りか彼女の香りか。どちらかわからないけど。あまいお菓子のような香りが食欲をそそる。いい香り。美味しそう。食べてみたい。やっと捕まえた。もう離したくない。色々な感情が雲雀のなかに一気に押し寄せ、自分でも制御できない。
抱きしめた雲雀は待ちに待った少女を腕の中に収めてとりあえずの安堵を得たが、後ろからいきなり抱きしめられたツナはいきなり誰かに抱きしめられて驚き、恐くなった。

「何!? いやだっ!」

雲雀との思い出に浸って悲しく苦しい思いを歌に乗せ、ある意味平和に空を見上げていたのに、いきなり何かに抱
きしめられればツナだって当然暴れる。
焦ったツナは、自分を抱きしめている体が男性ではありえない柔かさを備えている事にも気付かず、びっくりしていやいやと暴れ出す。
ツナから雲雀の姿は見えないので、正体不明の人物に抱きしめられたら暴れるのは当然なのだが、雲雀はツナに暴れられ、いやいやと拒絶されて、むっとした。
いきなり誰かが抱きついてきたら当然の反応なのだが、雲雀はそれが気にいらない。
雲雀恭弥が好きだって言ってたのに。雲雀恭弥に会えるのが楽しみだって言ってたのに。会いに来たのにどうしてこの子は雲雀を拒否して暴れるのだろうか。
雲雀にとっては、子ウサギが一生懸命抵抗しているような感覚でしかないツナの抵抗だが、気に入らないので暴れられた分だけ力を込めてぎゅーぎゅー抱きしめると、腕のなかにいる小さな少女が、いたい、こわいとすんすん泣き出した。
恐いことも痛い事もしたつもりはなかったのでむっとしたが、いたいこわいと泣く少女が可哀想になってきた雲雀は、彼女の耳もとに唇をよせ、落ち着いてと囁く。

「落ち着いて。ほら、まったく。痴漢じゃなくて、僕だよ」

とんとんと少女の指を手の平で擦り、きゅっと軽く握ると、彼女はびっくりしたように振り返った。

「ひっ、雲雀、恭、弥? うそ、ほんも、の?」

大きな琥珀色の瞳をこぼれ落ちるんじゃないかという位見開いて雲雀を見つめ、可愛らしくこてんと首をかしげる。

「ゆめ?」

びっくりする程近くにあるお互いの顔。
求めていた少女の吐息まで感じる事ができそうな位、近い距離。
こんなに近い距離にあるのに、どうしてだろうか、まだ足りないと思ってしまう。
まだもっと近くにいたい。
近くにいきたい。
誰にも縮める事の出来ない距離まで、近づきたい。
多忙を極める雲雀恭弥がここを訪れた理由。
それはこの少女に会いたかったから。
純粋に、もう一度。
そう、もう一度どうしても彼女に会いたかっただけなのに、会うとそんな事を思ってしまう。
会えばそれで満足出来ると思っていた。
雲雀の胸にあるわけのわからないもやもやが晴れると思っていた。
なのに、会うともっと側に行きたいとか、もっと近付きたいとか、そんな事を思ってしまう。
どうしてだろうか?
あの大きな琥珀の瞳をずっと見ていたい。
澄んだ瞳のなかに映るのは自分だけがいい。
他の奴らは、映さなくていい。
彼女の瞳に他のやつらなんて、いらない。
そんな風に思ってしまう。
こんな事を思う自分は一体どうなってしまったのだろうか。
雲雀は自分の方を不思議そうな顔をしてじっと見つめる彼女に再び囁く。

「ゆめじゃないよ」

今は雲雀だけを見つめて、雲雀だけ映す瞳。
もう一度、囁くように「ゆめじゃないよ」と言って軽く握っていた手に少し力を込めて、指と指を絡ませれば、ぴくりと彼女が動いた。

「ほ、んも、の?」

びっくりしながらもおそるおそる聞く彼女に頷く。
当たり前だ。雲雀恭弥以上の雲雀恭弥なんて存在しない。
雲雀は存在自体が銀河の宝、全宇宙の至宝と言われているのだから、偽者なんてすぐにわかる。その存在も、在り方も、すべての格が違うのだ。
本物かと問われれば、当たり前と答えるしかないだろう。
だから雲雀はいつも通り自信に満ちた笑みを浮かべる。


「当然。僕は雲雀恭弥だよ」


にっこりと笑い、雲雀を見つめしきりに瞬きを繰り返す少女に、いつものお決まりのセリフで答えた。

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カテゴリ:百合ヒバツナ
テーマ:家庭教師ヒットマンREBORN!! - ジャンル:アニメ・コミック
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Comments
2008/07/15
from ヒツジ #- URL
こんにちはッ。
いえいえいえいえ、十分可愛いですツナたんww
トマトみたいに真っ赤な顔したツナとかやばいっす(^^)v
キスしたいな・・・とか雲雀さん、ゲヘヘw←ヤメテ
こんなラブラブな二人を見ていると癒されます~w
オマケ文も楽しみです!!!

それではッ。
2008/07/15
from 浅田 リン #- URL
ヒツジさんへ
コメントありがとうございます。
ツナちゃんがかわいく書けなくて撃沈したのですが、そう言ってくださると癒されます。
「おきにめすまま」のオマケ文みたくもうちょい甘い感じにしたかったのですが・・・
この二人、結局ちゅーしてないし・・・。
癒されるといっていただけるならまたラブラブな二人を書きたいなと思ってしまいます。

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