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TOP結婚の条件(ヒバツナ子)結婚の条件・かえるののろい(前編


結婚の条件・かえるののろい(前編
サイトのめもで予告したとおりです。
2話+おまけで終わります。
ラブ後のお話。
手直しいっぱいしたいけどもう収集つかなくなるのでこのままで。あらばかりでひーっ。
続きは明日更新。




それは、些細な異変から始まった―――。

雲雀とツナ。毎日を幸せにラブラブ過ごしている二人は幸せの絶頂。
いつでもラブラブ仲の良い二人。
今日も今日で二人はべたべたべっとり。
見ているものはいないが、見ているものがいたら思わず赤面して目を逸らすであろう熱々でラブラブな空気満載。
二人の周囲だけはやけに空気が熱い。
そんな二人は日課のように愛を語る。
今も、そう。
雲雀は想いをこめて、ツナに言う。


「愛してるよ。ケロ」


ケロ?


ツナは首を傾げた。
いつもツナに囁かれる言葉。
だがしかし、今日は少しばかり違っていた。
愛してるよ。の後に、何故か「ケロ」と言われた。
ケロって何?とツナは首を傾げる。
そして雲雀もまた妙な顔をして首を傾げた。
ツナは思った。
今、確かに語尾にケロが付いていた気がしたのだが。

気のせいだよな。

恭弥さんが語尾にケロなんてお茶目でバカっぽい事言ったりする訳ないもんな。

気のせい気のせい。

そう思ったツナだが、当の雲雀は自分が言った言葉に違和感を感じていた。


確か今、愛してるよ。の後、ケロと言った。

何故だ?

口から勝手にケロという言葉が出ていた。


雲雀はそんな事思いつきもしなかったのに、どうしてケロという言葉が出て来たのだろうか。
雲雀が不思議に思っていると、可愛い妻が輝くばかりににこっと微笑んで言った。

「俺も、ヒッ、ヒッ、ヒバリさん、大好きですっ。あ、あいしてます」

ツナにとって言い慣れない言葉はすらすらとは出て来ない。
好きという言葉を口にすれば、顔は赤くなるし、恥ずかしくなってもじもじしてしまう。こんな反応じゃなくて、ツナはもっとスマートに言えたらいいのにと思っていたが、雲雀にとってはこうして照れるツナも可愛いらしく、思わずでれでれとしてしまう。
下を向きながら、ちらちらと雲雀の様子を伺って照れるツナを見つめていると、吸い寄せられるように二人の視線があっていき、自然な動作でそのまま唇が引き寄せられる。
唇と、唇の距離が、違い。
ツナが目を閉じて、大人しくキスを待っている。
それが、すごく可愛い。
キスの前、唇と唇がくっつく直前、雲雀は囁く。


「可愛い。ケロ」


その雲雀の言葉にツナは閉じていた大きな瞳をぱっちり開いた。

今、また最後にケロって言った?
ケロって言った!?

でも雲雀がこんな時に語尾にケロなんて言うはずがないから、幻聴か、自分の耳がおかしくなってしまったのかどちらかだろう。
でも、幻聴にしても、どうして語尾にケロなんだろうか。
ツナは混乱した。
しかし雲雀も少なからず混乱していた。
今、やはり自分の口からケロという言葉が出た。
言う予定も、言った予定もないケロという言葉。

何故?

唇を離して距離を取ると、目を丸くしている妻の顔。
自分はどこかおかしくなってしまったのだろうかというような表情をしている妻。
しかし雲雀もよくわからないので、とりあえず一人でプチ混乱する妻を宥めようと、大切な人の、大切な名前を呼ぶ。

「つなよし。ケロ」

やっぱりケロって言った!

二人はお互いの顔を見合わせて、呆然とした。


さて、混乱する二人は置いておいて、雲雀がこうなった理由はちゃんとある。




それは遡る事数時間前。


「ハルは最近ツナさんの旦那様を見ていると何だかとってもむかつきます」

ツナが大好きだと公言してはばからない女性ばかりが三人揃ったなかで、腹立たし気にハルが言った。
ぷんすか怒るハルに、京子はとてもいい笑顔を返す。

「あら、奇遇ね。私もよ。もっとも、私は昔からあの人を見てたらむかついて仕方がなかったわ~」

ツナが言う、慈悲溢れる京子ちゃんの天使の微笑みは、どこかどす黒かった。
天使というより天使の皮をかぶった悪魔だ。
それを感じたハルは、ぶるっと一度小さく震えて京子を見つめた。

「きょ、京子ちゃん。笑顔でさらっと言いますね」
「だって、むかつくんですもの~」

紛れもない本音を正直に悪びれずズバズバ言う京子の表情はやはり笑顔。
ハルが京子の笑顔を見つめ、この笑顔が怖いんですよと思いながら、同意する。

「うっ。まあ、むかつきます。あの幸せいっぱいな顔は特に腹が立ちます」

ハルが眉間をきゅっと寄せ、雲雀恭弥許すまじと言っていると、今まで大人しく事の成り行きを見ていたクロームがぽつりと言った。

「勝ち誇った雲雀恭弥を見ていると、とてもムカッと来ます。と、骸様も言ってます」

遠慮がちに、骸様のかわりに答えています的なクロームに、ハルがくっつきそうな位顔を近付て、聞いた。

「クロームちゃんはむかつかないんですか?」

クロームは近くに迫ったハルの顔に驚いて、自分の顔を後ろに倒してハルの顔から少し距離を取って、躊躇いがちに頷く。

「もちろん‥‥‥むかつく」

クロームの返事にハルは満足したかのように近付けていた顔を離し、テーブルの上にある紅茶を飲んで、喉を潤す。
エキサイトしたら喉が乾くのだ。
ハルがワインを飲んでいると、京子が静かな調子で、相変わらずの笑顔を振り撒きながらゆっくりと爽やかにどす黒い内容を口にした。

「本当に、殺ってしまいたいわよね。散々ツナ君を苦しめていたし、個人的には逆さ釣りにしてからバシバシやって、市中引き回し土下座百回しても気が収まらないわ」

虫も殺さないような顔をしながら辛辣な事をいう京子に、ハルはびくりとしながら頷いた。

「きょ、京子ちゃんがたまに怖くなります。でも、同意見です」
「骸様も激しく同意してる。‥‥‥私も、同意する‥‥‥」

クロームが伝える必要のない骸の意思を伝え、自分の意思はやはり遠慮がちに言って、三人は暫し黙り込む。


一瞬の間があって、ハルがぽつりと言った。

「あのつけあがった雲雀恭弥に何かぎゃふんと言わせる方法はないですかねー」

それに京子は同意する。

「ぎゃふんと言わせてやりたいわね」

クロームもまた頷く。

「‥‥骸様が、抹殺したいって‥‥。私もボスに近付く男、抹殺したい‥‥」


そしてまた暫し沈黙。
いい方法はないかと考えるが、いまいち思いつかない。
雲雀恭弥に対して出来る嫌がらせは散々やった。
他に何かないだろうかと思ったが、何もない。

「はひーっ。いい方法ないですかねー」

考えるのに行き詰まったハルが言うと、その声に答える第三者が介入してきた。

「ない事はねーぞ」

彼は漆黒のスーツにボルサリーノをかぶり、気配を感じさせる事なく現れる赤ん坊。
彼女達が愛する沢田綱吉の家庭教師であり、沢田綱吉が夫以外で恐らくは最も頼りにしていて、信頼している相手。ある意味において、リボーンはツナの夫である雲雀恭弥よりも信頼されている面もある、最強の家庭教師。
どこからともなく現れた彼の姿に女性陣は少し驚く。
リボーンは毎日優雅で暇そうにしているが、実際はとても忙しいのだという事を知っているからだ。
京子は小さな同志の姿を目にして首を傾げた。

「リボーンちゃん?」
「リボーンちゃんじゃないですか。どうしたんですか?」

ハルがいそいそとリボーンのぶんのお茶の用意をしながら、エスプレッソじゃなくてすみませんと謝る。
自分達はお酒だが、まさか赤ん坊にお酒を勧めるわけにはいかない。
例えその姿が出会った時と寸分も変わっていなかったとしとも、ハルには赤ん坊にお酒を出したりするの事は出来ない。
京子は京子で先程の言葉を思い出し、何か考えがあるのかなとリボーンを探るように見つめるが、その深い瞳からも、赤ん坊には似つかわしくないいつものニヒルな表情からも、何も読み取る事が出来ない。
なので、京子はさっさと諦めて降参する事にした。

「何かいい方法、あるの?」

京子が聞くと、リボーンがにやりと笑った。
何かを企んでいる時にする、彼の笑み。

「もうすぐカモがやってくる。そいつを捕まえて言う事聞かせりゃいーんだよ」
「カモ?」

京子がカモとは何だろうかと考えると、カモと聞いたハルが好物のカモ料理を思い出し、へらりと顔をゆるめる。

「ハルはですね、鴨は鍋とスープが好きです。いい出汁が出るです」

ハルがカモは汁物系が好きですと言うと、クロームが頷く。

「鴨鍋‥‥おいしかった‥‥。ヒバリ鍋は不味そう」

カモはいいが雲雀は嫌だとさりげなく雲雀の悪口を言った。

「はひ~。ハルはそんなの食べたくないです~」

ヒバリ鍋なんて嫌です~と首を振るハルと、にこやかに笑う京子。
にっこり天使の微笑みを浮かべながらどす黒い何かを放出してクロームに優しく言う。

「だめよ。クロームちゃん。ヒバリ鍋なんて食べたら、食中りよ。お腹壊しちゃうわ~」

にこやかに黒い京子を見ていたハルはひ~っと小さく叫んだ。

「きょ、京子ちゃんから何かどす黒いものが流れてます~」

ハルが京子ちゃんが黒いですと言っていると、クロームがうっとりしながら微笑んだ。

「骸様が、京子ちゃんはとってもいい感じだと言っているの‥‥」

ダークなオーラがとってもいいみたい。
クロームがふふふと微笑みながら京子を見つめると、リボーンがまたも口を出してきた。

「ま、それはさておき、ほら、鴨が来たぞ」

そう言った次の瞬間、トントンと部屋の扉がノックされた。
女性陣が何だろうかと思う間もなく、リボーンがまるで自分が部屋の主でもあるかのように勝手に答える。

「入っていーぞ」

酒が入っていて多少おおらかになっている女性陣達が集う部屋は、今や雲雀恭弥悪口大会会場と化している。
皆、ツナが好きだからこそ、雲雀が嫌いなのだ。
そんななかに、カモがやってきた。
カモなのに、カモはカエルのかぶりものをかぶっていた。
大きなカエルのかぶりものに、どこか冷めているような、達観した表情。
美形なのだが、カエルのかぶりものをかぶっているためかどこか笑いを誘う。
フランである。
何故かフランが女性陣が集う部屋にやってきた。
普通の男性なら、それぞれ個性の違う美女達にでれでれする所であるが、フランは無表情。
喜んでいる様子も、美女達に囲まれてうはうはしている様子もない。
だるそうで、面倒そうで、いかにも嫌々来ましたという適当な態度。
女性陣の部屋に来たフランは許可なく勝手に部屋に入り込み、進められてもいないのに、これまた勝手に空いている椅子に腰かける。
フランはクロームを見つめ、言った。

「性格の悪い師匠がミーに八つ当たりして困ってます。雲雀恭弥許すまじとかほざいて煩いです。たまに永眠してもらいたくなります。クロームねーさん、可愛い弟ぶんを助けてください。ぶっちゃけ師匠を何とかしてください」

困ったと言いながら全然困っていそうにないフランがクロームにぼやけば、クロームは即座に答える。

「無理」

きっぱりはっきりにべもなく言うと、フランはやはり無表情でだるそうにして、ぶくつさ言っている。

「クロームねえさん。ちょっとは考えたりしないんですか?可愛い弟ぶんのために。まったく師匠は人使いは荒いし変態だしで、いつもミーを使いっぱにします。この間もチョコレートとアイス買って来いとか言うし。むかつくし面倒なんでアイスとチョコレートの幻覚を出したりバレて槍で刺すんですよ。酷い師匠です」

見てくださいグサグサ刺されましたと背中を見せると確かに巨大なフォークで刺されたような穴が空いているがフランは元気でぴんぴんしている。刺されているがまだまだ死にそうにない。
師匠はひどいです。うざいんでクロームねえさん何とかしてくださいと訴えるフランにクロームは無視。
そんなフランをじーっと見つめている京子は自分のなかに引っかかりを感じていた。
フランといえばかつて何かあったような気がする。
リボーンは、フランをカモと言った。

「カモ‥‥」

京子が呟くと、フランがカモという言葉にすかさず反応し、カエルのかぶりものを被った頭を振って違いますよと否定する。

「カモ?ミーがかぶってるこのうざいのはカモじゃなくてカエルです。前から性格のおかしな人だとは思ってましだが、性格だけでなく目までおかしくなったんですか?」

フランは京子に対して普通本人を前にしては言わないであろう事をズバズバ好き勝手に言って、言いたい放題。
思った事が口からだだもれだ。
クロームは巨大なフォークを出し、無言でフランを刺した。

「失礼な事言ったらだめ」

ぐさぐさぐさぐさ。

「ねーさんまでミーを刺すんですか。ミーは思った事をただ正直に言っただけの心の清らかな永遠の少年なのに」
「ただ失礼なだけ」

静かな二人の静かな会話はどこまでも静々と進むがとても黒い。
そしてカエルを被った美形と斬新な髪型が残念な美女は二人とも美しいと言っても差し障りのない容姿。
その二人の静かな攻防は端から見ていたら心臓に悪くて、ハルは見ていると心臓がどきどきしてきた。

「はひ~。なんだかとってもシュールです。二人ともなんか怖いです~」

クロームとフランが二人で仲良く身体を張った(主にフランが)微妙な漫才をしているのを目にした京子が心に引っかかる何かを思い出して小さく呟く。

「カモ!」

クロームにグサグサやられながらも京子の言葉を聞いていたフランは
「だからこれはカエルです。物わかりの悪いひとですね。ちなみにミーは肉ならカモより羊の方が好きでーす」
フランはさりげなく失礼な事を本気なのかボケているのかよくわからないとぼけたような雰囲気を醸し出しながら言うが、京子は聞いてない。
じーっとフランを見つめている。
そんな京子にリボーンはにやりと笑った。

「そーだろ、カモだろ」

リボーンの言いたい意味を京子がさとったとわかったリボーンが楽しそうに言うと、キラリと瞳を光らせながら獲物を狙う鷹の目をした京子は頷く。

「本当にカモが来たわね。リボーンちゃん」

ふふふと極上の微笑み。
慈愛の聖母と見紛う微笑み。
しかしフランは慈愛の聖母の微笑みのなかにどす黒い邪悪さを感じた。
自分にとってまずいというか面倒な事になりそうな気がするという勘のようなものが働き、早くここからずらかったほうがいい気がして、クロームに刺されながらもいつもと同じ平気な顔をして危険を感じるこの場所からさりげなく、そっと去ろうとした。
実はけっこう律義なフランは姉貴ぶんであるクローム相手にとりあえず帰る挨拶をする。

「何かめんどくさい事に巻き込まれる予感がするので、ミーはやっぱり帰ります‥‥」

さりげなく帰ろうとしたフランだが、そのフランをすかさず止める声がかかった。

「だめよ、フラン君」

嫌な予感の根源。
沢田綱吉の事となると、天使か聖母の表情で邪悪なオーラを放出する性格の悪い女がフランを止めに入った。
それにフランは棒読みの言葉で答える。

「わー。素敵にどす黒い爽やかな笑顔ですねー。じゃあ僕はこれで」

だめと言われてもフランはトンズラする気満々だ。
そのまま脱出しようとしたが、それは叶わなかった。

「クロームちゃん!ヒバリさんに仕返ししたいならフラン君を捕獲するのよ」

この一言がフランの運命を決した。

「わかったわ!」

静かに、けれどしっかりと言うフランの姉貴ぶんは、弟ぶんであるフランを実に簡単に天国の魔天使に売った。
しかもフランの背中にはまた槍が刺さっている。
酷すぎる‥‥‥。

「ねーさん。槍で刺しましたね」

しかも可愛い弟ぶんを何の躊躇いもなく天国の魔天使に売った。
ぐさりと背中に刺さった槍。
クロームはフランの背中に槍を突き刺しながら、相変わらず静かな口調でぽつりと言う。

「だってフラン、死なないし、いつもの事だし、大丈夫よね」

当然の如く言うクロームに、フランはしくしくと声を上げた。
しくしく言いながらも相変わらずの無表情。

「いたいです」

とりあえず情に訴えてみるために、痛いと言ったフラン。
だが、訴える言葉はやはり棒読みだった。
クロームはフランをぐさぐさ突き刺しながら、気休めを言った。

「痛いの痛いのとんでけー」

とてもではないが、ぐさぐさ槍を突き刺しながら言う人のセリフではない。

「クロームねえさん。そう言いながらどーしてミーを刺してるんですか?」
「刺してるのは私じゃないわ。私のなかにいる骸様がしているのよ。これは師匠から弟子への愛の鞭なの。私の心はフラン、ごめんなさいって泣いているんだけど、私、骸様には逆らえないの」

ああ困ったわ。
でも仕方がないの、
恨むなら骸様を恨んでね。

「いや、どー見てもクロームねえさんの意思みたいなんですけどー」

口調は骸様がと言うが、どう見てもブラッククロームがここにいる。
長年骸に付き合っていたためか沢田綱吉への愛のためかは不明だが、クロームはボスのためならたまに般若になる。
そしてそれを自分のなかにいる骸様がやったのーと全部を骸に押し付けたりしてとても怖い。
フランはクロームにグサグサ刺されて取り押さえられて、面倒だと思っているが、クロームを動かした魔天使は喜んでいた。

「とにかくよく捕獲してくれたわ、クロームちゃん!」

暗黒聖母の笑顔でキラキラ爽やかに言う京子に、クロームは聞く。

「で、雲雀恭弥にぎゃふんと言わせるって、どういう事?」

その間もフランはクロームにグサグサやられ、そしてひどい事に足で踏まれている。
何なのだろう。この扱いは。

「ハルも知りたいです」

フランの上で女性達の声がする。
顔を上げたら多分目の前にいる笹川京子のスカートの中身が見える気がしたが、フランは興味がないし、見たことがバレたらこれをネタに何を要求されるかわかったものではないので、フランは大人しく目をそらしたままクロームに踏みつけられるに任せている。
別にいい。いつもの事だし。
だが、一つ言っておきたい。
フランには人に踏みつけられて悦ぶ趣味はない。
これは不可抗力だ。
うちのえばりんぼなボスに花瓶やら箪笥やらテーブルやらを投げつけられぶつけられているどっかの隊長みたいに、フランにそっちの趣味はない。
どっかの隊長スクアーロにもそっちの趣味はないのだが、フランのなかではスクアーロはそっちの趣味の人に分類されていた。
避けられるものを避けなのは多分そっちの人だからだというのがフランの結論だった。
フランの上からは三人揃えば悪巧みという暗黒女性トリオが結成され、京子は嬉々として二人に話し出した。

「それはね、呪いよ!」

雲雀恭弥にぎゃふんといわせる方法は、呪いなの!
京子の言葉にハルがはひーっと言いながら怯えた。

「呪い!ホラーです!」

ホラーは怖いですよと言うハルに、クロームがにこやかな表情で大丈夫だからとなぐさめる。

「ハルさん、大丈夫。骸様は存在自体がホラーだから、大抵のホラーより骸様の方が怖いはず」

クロームもけっこう失礼だった。
この姉貴ぶんにしてこの弟ぶんあり。
その構図がよくわかるような発言。
骸はホラー発言を誰かが否定してもいいはずなのに、この部屋に集ったものは誰も否定しなかった。
フランすらも黙って聞いている。
確かに師匠は存在自体がある意味においてはホラーだ。
夜中に水牢コポコポの姿で髪をゆらゆらさせて出現されたら多分誰でも驚くだろうしホラー以外の何物でもない。

「そっ、そうでしょうか」

よくわからないクロームの慰めにハルは首を傾げるが、クロームはもちろんと頷いて骸をホラーにしてしまう。

「そうよ。だから安心して、ハルさん。で、京子ちゃん、呪いって、雲雀さんに?」
「そうよ!雲雀さんに、呪いをかけるの。フラン君がね」

言っている事が魔女の集会みたいな内容になってきたような気がしてきたフランは本格的面倒そうだと思い、クロームに踏みつけられながらも面倒な事にならないうちにと、とりあえずヴァリアーの先輩あたりに事を押し付ける事にした。

「そーゆーのは、ミーよりもマーモン先輩に言った方がいいですよ」

無表情で厄介事を先輩に押し付けてみたが、京子が首を振った。
すっとしゃがんでフランに目線を合わせ、一見優しげに見えるお得意のどす黒い聖母の微笑みを浮かべてフランに言う。

「マーモンちゃんはぼったくりだから止めとけってリボーンちゃんが言ってたの。頼むならフランにしとけって」
「余計な事を」

まったくアルコバレーノという人種は揃いも揃ってうざい事このうえない。
マーモンもそうだ。
フランにとって、バイパーという正体を隠しているのかいないのかわからないあのアルコバレーノはある事情によりうざい事この上ない。
マーモンに押し付けようとした事を却下されたフランにクロームの追い討ちがかかる。

「骸様もそれはとてもいいアイデアだって、言ってる」

明らかに自分もいいアイデアだと思っているずのクロームは骸という名前を強調してフランの背中に体重をかけてぎゅぎゅっと踏みつける。
ここで、クロームねえさん最近肥ったと言ったら、フランは般若が出てくる事を知っている。
この間ついうっかり言ってしまった時にえらいめにあったからだ。

「でも、呪いなんて大丈夫なんですか?」

呪いというと、怖いイメージがあるのかハルが不安そうに言う。
そうだ、呪いなんて止めとけと言ってやれとフランは心のなかでハルを無気力に応援した。
しかし無気力に応援したのが悪かったのかフランのエールは届かなかった。
また笹川京子が余計な事を言ったからだ。

「呪いっていっても、怖いのとかじゃなくて、思いっきりくだらなくて馬鹿馬鹿しいのにするの。雲雀恭弥ともあろうものがこんなくだらない呪いにかかったのか、みたいなの。だって私、ツナ君を悲しませたいわけじゃ、ないもの」
「そうね。ボスがあまり悲しまないような、笑いを誘うようなくだらない呪いがいいわよね」

笑いを誘うくだらない呪いって何だ?
笑いを誘う呪いなら呪う意味はあるのか?
フランは思った。
笑いを誘う呪いというと、雲雀恭弥を師匠と同じパイナップル頭にしてみるとか、雲雀恭弥にウサミミを生やしてみるとか、そーゆーのだろうか。
どちらにしても面倒そうだし、フランは雲雀恭弥にも、沢田綱吉にもあまり興味がないのでどうでもいい。
フランはどうでもいいと思っているが、魔女会議に出席している三人はそうではない。
三人は三人ともツナが好きで、雲雀恭弥が嫌いなのだ。
呪いと聞いて渋っていたハルも、面白い呪いというのは受け入れられたらしく、それならいいですとフランの気も知らずに言い出した。

「ツナさんが悲しまないようなくだらない呪いですか。それなら怖くないです。あの怖い人に何かあったりしたら、ツナさん、悲しみますもんね‥‥」
「悔しいけど、ボスが愛しているのはあの最低な男だし‥‥」

着々と進んでいく話に、フランはきっぱり言った。

「ミーはやるとは言ってません」

クロームに踏みつけられながらも言うフランに、クロームはまたぐさりと槍を刺した。

「骸様がやれって言ってる。フランに選択する権利なんてないわ」
「なら師匠がやればいいじゃないですか。どーしてミーにやらせようとするんですか」
「骸様はやらない。呪いをかけたのが骸様だとバレたら、ボスに怒られるかもしれないし、もしかして嫌われるかもしれないしから、フランがやりなさいって。骸様、そう言ってる」

骸はせこい逃げに走っていた。

「なっ、なんて師匠なんですか。可愛い弟子は嫌われてもいいってゆーんですか。師匠は可愛い弟子を悪者にする気なんですね」
「骸様は、これは試練だって言ってる。この試練を乗り越えてこそ、術者として成長するって、そう言ってる」

かなり嘘くさい事をもっともらしく言う骸に、フランはがっくりくる。

「またもっともらしい事を言って‥‥」

フランにとって、クロームは姉で、骸は父親みたいなもの。
黒曜のメンバーは、フランにとっては家族。
兄弟姉妹でも一番下の弟は常に虐げられる運命だと聞いた事があるので、仕方がないとは思うがなんか理不尽を感じる。
そんなフランに、悪魔が囁いてきた。

「まあぼやくな、フラン。タダでとは言わねーぞ」

笹川京子にフランをすしめたアルコバレーノのリボーンが、にやりと笑いながらフランのそばによってきた。
しかしフランはマーモンではない。
骸やクロームに言われたので最終的には呪いをかける事になるだろうが、リボーンの言う事を聞く義理はない。
フランちょっとやちょっとの事では動かないのだ。

「ミーはお金にはあまり興味はありません」



続く
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