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TOP百合ヒバツナ恋の歌 恋する十字架13


恋の歌 恋する十字架13
百合ヒバツナ「恋の歌」
オフで完結済み。完売後再録集に番外と一緒に収録。
再録集のお取り扱いはバードEXになります。
こちらはweb版となります。
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「どうしてそんなに悲しそうにうたうの?」

その声を聞いた時に、うそだ、そう思った。
あの人がここにいるはずなんかない。
ツナに対して、もう見たくない、消えてと言ったのだ。そん
なあの人が、ツナを心配するはずないし、心配そうな声をかける訳がない。
あの人恋しさについに幻聴まで聞いてしまったのだろうか。
でも、幻聴でももう一度あの人の声を聞く事が出来た。
しかも、あの人がツナの事を心配しているような優しい響きをした声をきけた。
幻聴でも嬉しいと浸っていると、幻聴はもう一度訪れた。

「ねえ、聞いてるの?僕はどうしてそんなに悲しそうにうたうのかって聞いてるんだけど」

今度は少しイラっとした響きで、先ほどとは違ってなんだかやけにリアルだ。
もしかしたら幻聴だけでなく、幻覚とかも見えるかも。
ツナがそう思って膝から顔を上げ、緩慢な動作で声がした方を振り返れば、美麗な顔が間近に迫っていた。
幻覚にしても近すぎる。
でも素直に嬉しい。
その近さと幻覚のリアルさにぽかんとしたツナだが、例え幻覚でも嬉しくて、にこりと笑うとその人は一瞬びっくりしたような顔をして小さくため息をついた。

「君ね、可愛い顔をしたら僕が誤魔化されると思ってるの?」

そう言われて、ツナはまたぽかんとした。
可愛いといわれた。
今度の幻覚は随分と大盤振る舞いらしい。
幻覚でも好きな人に可愛いと言われた嬉しくなるのは当然で、自然とふんにゃり顔がほどけていく。
表情がしまりなくふわふわする感覚。
へにゃんと笑って、ツナはこてんと首を傾げて言った。

「可愛いって、嬉しいです」

何より雲雀に言われたことがとても嬉しい。そう思ってにこりと笑うと雲雀は絶句したように息を詰まらせ、君はなんだか危なっかしいねと言って髪を撫でてくれた。
髪を撫でられた事にまた嬉しくなって、えへへ、とふにゃふにゃ笑いながら雲雀を見つめると、そっと笑い返してくれた。たったそれだけのことが嬉しくて仕方がない。些細な事に大きな幸せを感じたツナがにこにこ笑っていると、雲雀はじっとツナを見つめながら聞いてきた。

「君はどうしてそんなに嬉しそうなの?」

幻覚のくせにそれを聞くんだ。ツナは不思議な気がして、目の前の綺麗な人を見つめながらツナのなかにある純粋な思いを、心をこめて告げた。

「恭弥さんに会えて嬉しいからですよ」



*      *       *


「どうしてそんなに悲しそうにうたうの?」

雲雀がそう聞いたのに、彼女は自分の膝に額をくっつけたまま動かなかった。
無視された。そう思った雲雀は少しイライラしてきた。
どうしてそんな悲しそうな声で歌を歌っているのか聞いたのになぜ無視するのだ。
なので、もう一度たずねた時には少しイラっとした響きで彼女に言った。

「ねえ、聞いてるの?僕はどうしてそんなに悲しそうにうたうのかって聞いてるんだけど」

そう言うと彼女はゆっくりと膝から顔を上げて雲雀の方を振り向いた。
膝をついて彼女の後ろにいた雲雀と、彼女の顔が間近に見える。
距離が、近い。
でも遠い。
望んだ近さはこの距離だろう。
でもそれでは足りない。
そんな風に雲雀が考えていると、近い距離にあった彼女がふいにふわんと笑った。
素直な微笑み。
嬉しいという思いすべてがこぼれ落ちて溢れ出したような顔。
雲雀を認めて、すごく嬉しそうに笑った。
その笑顔に、一瞬息が止まるかと思った。
なんて無防備な笑顔なんだろうか。
小さくため息をがでる。

「君ね、可愛い顔をしたら僕が誤魔化されると思ってるの?」

可愛い顔。
そう言うと彼女は花がほころぶようにふんにゃりと顔がほどけていく。
その顔は、彼女が恋人とか、好きな人に向けるそれのようで雲雀はおかしな気分になってしまう。
まるで彼女にすごく好かれているようなそんな感じ。
雲雀の複雑な感情など知らない彼女は雲雀を見つめ、頬を薄紅に染めて、こてりと首を傾げて言った。

「可愛いって、嬉しいです」

ふんわり、にこりと笑うその表情に雲雀は思わず絶句する。
瞳を潤ませ、頬を染め、一生懸命雲雀を見つめる彼女はとんでもなく犯罪的なまでに可愛かった。
雲雀はそんな彼女の姿に息を詰まらる。
まったく自分の可愛らしさに無頓着で無自覚か彼女はなんだか危うい。
微笑みで雲雀の毒気すら抜いてしまう。

「君はなんだか危なっかしいね」

こんな生物を放置してたら危険で仕方がない。
手が自然と彼女の触れ心地のよいほわほわした髪にふれ撫でる。
彼女は瞳を細めてひどく心地よさそうに大人しく雲雀に髪を撫でられている。
そんな姿はとても素直で可愛らしい。
会って触れても拒否も拒絶もされない。
一体今日はどうしたのだろうか。
雲雀がそう考え目の前の少女を見つめていると彼女は嬉しそうに、えへへ、とふにゃふにゃ笑って雲雀を見つめてきた。
雲雀を見つめる無防備な、すべてを預けたような視線が心地よく、思わずふっと笑みがもれる。
雲雀が微笑むと彼女はますます嬉しくて仕方がないというようににこにこ笑ってうっとりとした表情で雲雀だけを見つめている。
前に会った時にあんな事を言ったのに、彼女は雲雀を見てとても嬉しそうなのが不思議だ。
なぜだろうか。

「君はどうしてそんなに嬉しそうなの?」

じっと彼女の可愛らしい表情を見つめて聞くと彼女は何を言い出すんだろうかと心底不思議そうな表情で雲雀を見つめながら言った。

「恭弥さんに会えて、嬉しいからですよ」
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