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TOP百合ヒバツナ恋の歌 恋する十字架12


恋の歌 恋する十字架12
百合ヒバツナ「恋の歌」
オフで完結済み。完売後再録集に番外と一緒に収録。
再録集のお取り扱いはバードEXになります。
こちらはweb版となります。
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迷いのない足取りで雲雀は歩く。
いつだって雲雀には迷いなんてなかった。
もやもやした感情とも無縁だ。


黒か白か。
好きか嫌いか。


あるのはこの二つだったのに、彼女に会って、変わってしまった。
今雲雀のなかにある、好きだけど嫌い。嫌いなはずなのにどうにもならないくらい好きという複雑な感情ははじめてのもので、白黒つけがたく好きではない。
その根源にある感情というか、情動の正体はわかっている。
雲雀には欠落していると思っていたその感情。雲雀にそんな感情をもたらす彼女に会わなければならない。会って、どうするのかわからない。確かめなければと思うが何を確かめるのかもわからない。でも会わなければならない。会わないと後悔する。それだけはわかったので雲雀は進むのだ。再び彼女に会うために。
そう、自分自身信じがたい事だが、雲雀は彼女が好きらしい。
道すがら、雲雀は考える。
自分がどうしたいのか。
雲雀がしたいこと。それならすぐに思いつく。
雲雀は彼女に触れたいし、キスしたいし、もっと誰も入り込む事が出来ない位近付きたい。
恋人の距離まで、いや、もっとそれ以上に彼女のすべてが欲しいと思う。
彼女は好きな人としかキスしたくないと言った。そう言って、雲雀を拒んだ。好きな人としかキスしたくないなら、彼女が雲雀を好きになればいい。
恋人じゃないとキスをしたらダメだと言うなら彼女を雲雀の恋人にすればいい。
雲雀が彼女の恋人になればいい。
そうすれば雲雀の望みは叶うのではないだろうか。
ふと思いついたそれは、とてもいい考えのような気がした。
彼女が雲雀の恋人になれば、彼女が雲雀の事を好きになれば、雲雀の願いは叶うのだ。
どうしてこんな簡単な事に気が付かなかったのだろうか!
リボーンは彼女に恋人はいないと言っていた。恋人がいないなら雲雀にも充分チャンスはある。恋人はいなくても好きな相手はいるかもしれないが、もし彼女に好きな相手がいたとしても、バレないようにこっそり咬み殺してどこか他の船団にでも飛ばしておけばいい。
彼女が好意を寄せる相手は雲雀一人でいいので、それ以外は皆咬み殺さなければいけない。
後で赤ん坊に彼女が好意を寄せる相手を聞いておかないと。
そしてそいつら皆咬み殺すのだ。
雲雀は密に抹殺計画を立て、愛する少女を自分だけのものにしようと画策する。
決意を固め、意思を定めた雲雀の行動は素早かった。


早くあの子に会って、あの子を自分のものにしないと。


誰かに取られないうちに雲雀があの子の恋人になるのだ。


雲雀はこの前と同じ道をたどり、そしてひらけた空がよく見える高い建物の上に辿りついた。







赤ん坊の言うとおりそこには、間違いなく雲雀の好きな彼女がいた。
だが、久しぶりに見た小さな少女はこの前に見た時よりも、少し小さく見えた。
彼女は膝を抱え、その上に額をおき、小さな声で歌を歌っていた。
その背中も、彼女がうたっているうたも、どこか淋しそうで悲しそうで、今にも消えてなくなってしまいそうで無性に不安になった。
この間聞いた時より更に悲しみに溢れている歌。どうしてそんなに悲しそうに歌をうたうのだろうか。
彼女には明るいうたがよく似合うのに。
音も気配もさせず、雲雀は彼女に近付く。


もっと近くに。
もっと側まで。
早く触れたい。


うずうずとそう願うが、それでも雲雀は彼女が最後の一音を吐き出すのを待った。
最後の一音。
さみしい響きをもって膝のなかに溶けたそれを聞いて、雲雀は問うた。


「どうしてそんなに悲しそうにうたうの?」
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