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TOP百合ヒバツナ恋の歌 恋する十字架10


恋の歌 恋する十字架10
百合ヒバツナ「恋の歌」
オフで完結済み。完売後再録集に番外と一緒に収録。
再録集のお取り扱いはバードEXになります。
こちらはweb版となります。

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雲雀恭弥は不機嫌だった。

それはもうここ最近ない位、絶対無敵の不機嫌さ。
いつもイライラしているし、無口だし、いきなり壁とか破壊するしで回りの人間は皆彼女に怯えていた。
しかしそんな彼女に平然と接するものもいる。
数少ないその人物は雲雀のマネージャーのリボーンだ。
なりは赤ん坊だか、あなどれない。リボーンはその強さと知力で他を圧する雲雀に対して一度だって怯えたり遠慮したりした事がなかった。
今回もその例にもれずに、彼だけは不機嫌をあらわにする自分のタレントに平然と声をかけた。

「よお、ヒバリ今日も順調に機嫌悪そうだな。この間教えた場所には行ったのか?」

聞かれた雲雀は自分のマネージャーである赤ん坊、リボーンを冷ややかな眼差しで見つめた。

「そんな事、君にはどうでもいいだろう」

ぷいと横を向いて更に不機嫌になる。

「どーでもよくねーよ。商品がコレじゃあ使いもんにならねーじゃねーか。だいたい俺はヒバリがあのちんくしゃのいる場所教えろって言ったからわざわざ調べてやったんだぞ。せっかく調べて、教えてやって、さらには休憩時間まで工面してやったんだから機嫌が悪くなるなんてありえねーだろ。むしろ良くならねーといけねーよな。だいたいこの超優秀なマネージャーの俺様に向かってなんでそんなに不機嫌なんだ?」

雲雀は首を傾げるマネージャーを見つめ、べつにと一言呟いた。
それから思い出したように言ってみた。

「ねえ、君は好きな人にしか、キスしたくないと思う?」

雲雀の質問に何か得心がいく事でもあったのか、黒スーツの赤ん坊は、ははぁんと頷いた。
そして雲雀に質問する。

「そういうテメーはどうなんだ?」

雲雀は意外な事でも聞かれたかのようにリボーンを見つめる、当たり前の事を答えた。

「僕? 愚問だね。イヤな相手とはそんな事はしないよ」
「じゃ、そーゆー事なんだろ」

訳知り顔をした赤ん坊の言葉に、雲雀は考える。
だから彼女は雲雀とキスしたくなかったのだろうか。
キスをイヤがったあの時の彼女。
最後に会ったあの時、雲雀は彼女を拒絶した。あの後、時間がたてば彼女の事は忘れられるだろうと思っていた。
拒絶されたり拒否されたらもうどうでもよくなると思っていたのに、彼女の事を忘れるどころか時間がたつにつれて、ますます彼女の事が頭から離れない。
柔らかく染まった頬とか、潤んで蕩けるように雲雀を見つめた眼差しだとか、まるで、雲雀の事が好きと言っているような瞳とか。
そんなはずはないとわかっているのに。
彼女は雲雀を否定してばかりだった。
少し触れただけなのに、いやいやばかりするし、キスしたらダメとか言うし。


キス‥‥‥‥。


思い出す。
あまいくちびる。
はちみつのようにあまい彼女の口のなか。
絡めた舌の感触。
指先で触れた耳の熱さと頬の熱。
また、触れたい。

キスしたい。
抱きしめたい。
顔がみたい。
会いたい。
雲雀を見て、ふんわり柔らかく微笑んでくれたらいいのに。
でも、彼女はダメだと言った。
キスしたらだめ、さわったらダメ。
雲雀はそんなのイヤだ。
会ったら彼女にふれたいし、キスだってたっぷり、沢山したい。それが恋人の特権だというのなら、その特権はすべて雲雀が欲しい。


他のヤツになんか渡したくない。


好きな人としかしたくない彼女なら、好きな人にはもっと違う、特別な顔を見せるのだろうか。
雲雀には見せない顔とかもするのだろう。
それを考えると、また腹がたってきた。


あの子の好きなヤツなんて死んでしまえばいい。
あの子の恋人なんていなくなってしまえばいい。


そう考えて雲雀は頭の片隅に少しの引っかかりを覚える。
あの時は頭に血が上って彼女に恋人がいると思っていたが、あんなにも物慣れてない彼女に恋人がいるだろうか?
好きな相手位はいるかもしれないが、恋人はいるのか。
雲雀のキスに息が出来ないと涙を浮かべていた少女だ。
そんな彼女に恋人。彼女は可愛いから、恋人がいてもおかしくはないだろうが、どこかしっくりこない。キスだってなれてなかったし、今思えば恋人がいそうな雰囲気ではなかった。恋人がいても彼女に手を出してないだけかもしれない。けれど、彼女はあんなにも可愛いのだ。雲雀なら即色々したいと思うし、手が出ている。
雲雀は考え自分のマネージャーに聞いた。

「ねえ、赤ん坊。この前のあの子に、恋人はいるの?」

すべて事前調査済の赤ん坊は、雲雀の問いに呆れたように答えた。

「いねーよ」

好きなヤツはいるがな。
しかもそれはおまえだよヒバリ。

続く言葉口に出すことはなく、心の中だけで呟きながらリボーンはエスプレッソをすすった。他人の恋路に首を突っ込むような野暮ったい趣味はない。リボーンの答えは一言だけだったが、雲雀はリボーンのどうでもよさそうな答えで満足したのかすらりと立ち上がった。

「赤ん坊、あの子どこにいるの?」

リボーンはちらりと雲雀を見つめ、ああ、と頷きながら何でもない事を話すようにさりげなくこたえた。

「‥‥‥前にヒバリに「君なんかいらない」とかひどい事言われた場所にいんじゃねーか」

あの時のあれは暴言だったよな。あいつじゃなくても泣くよな。傷つくよな。さらりと言うと、雲雀の眉間にぐっと皺が寄った。眦を吊り上げリボーンを睨みつけてきたが特に動揺することもない。この程度でびびっていては雲雀恭弥のマネージャーは出来ないのだ。
リボーンを睨んでいた雲雀だが、優雅にエスプレッソの飲む姿からはそよ風ほどの感情の動きも感じられない。いつもと同じ何を考えているのかわからない瞳をしていた。
覗き見されていい気持ちはしない。だがこれにかまうだけ無駄。そう思った雲雀はため息をつくしかない。

「‥‥君、僕にどうなったとか聞いておきながら、しっかり覗いてたんじゃない。今度は覗かないでよね」

こうして釘を刺しておいても、リボーンが見たいと思ったら
見られてしまうので無駄なことだろうが、覗き見されていい気分はしないので釘を刺すことは忘れず、雲雀はそれだけ言ってその身を翻した。
仕事中にもかかわらずスタジオからすたすた去っていく雲雀の後姿を見つめたリボーンは、やっぱりこーなるかと思いつつ、仕方ねえなと呟き、雲雀の仕事の調整をはじめる。
どのみちあの様子では仕事にならなかった。
なら、纏まる所に纏まって、餌でつりながら機嫌よく仕事をさせるまでだ。
恋をして恋人を得たら、ヒバリはもっと磨かれるだろう。
歌も、今よりずっと深みが生まれるし、作詞をしても作曲をしてもきっと素晴らしいものを産み出すはずだ。
そのための僅かなロスは仕方がない。これも将来の投資のためだと思えばいい。
恋人が女だってのがアレだがバレなきゃ問題ねーし、女同士なら部屋を行き来していても友人ですむ。
スギャンダルとも無縁になるし、ヘタな男を作られるよりはずっといいだろう。
ただ‥‥‥ヒバリに好かれたあの少女にはご愁傷様と言うしかないだろう。
あの独占欲の塊のような独裁者に迫られたあげく恋人になったらきっと大変だ。


ま、俺には関係ねーからいいけどな。


しょせんは他人事。
あの気まぐれな歌姫がきっちり仕事さえこなしてくれればそれでいい。
そうしてリボーンは抜かりなく雲雀のスケジュールを調整するのだった。
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