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TOP青の祓魔師女王陛下の悪魔退治16


女王陛下の悪魔退治16
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「あー、しかしあれですね。驚いてますねー、皆さん」

親指で丸を作って双眼鏡をのぞきこむように燐の友人達を見つめる。あんぐりと開いた口に虫が入りそうだ。大丈夫かあのオレンジ頭。
そうして見つめていると、アマイモンの目当ての人間を発見した。

「しえみだ」

昨日は好感度を上げることが出来なかった。今日こそは。そう思ってさっさとしえみのそばに行こうとすると、メフィストがアマイモンを止めた。

「待ちなさい!それは後にしなさい」
「えーっ。僕はしえみの所に行って好感度を――」
「多分、杜山しえみは今それどころではないはずだよ」

よく見ると、しえみは燐しか見ていない。必死で燐の姿を追っている。

「ああ‥‥しえみは燐の友人でしたね」
「まあね。皆呆然としてるよ。藤本以外は」
「そうですねー」

アマイモンとメフィストがそんなことを言い合っているうちに、あっけなく戦闘は終わった。
時間にしたら3分もないだろう。カップ麺も作れない短時間で片がついてしまった。








「な、ぜ。なに、が」

焼け落ち、灰になることがなかった悪魔が言った。この集団のリーダー格だ。
自分達の身に何が起こったのかわからない。そんな顔と声。
アマイモンは、倒れた悪魔の考えたことが手に取るようにわかった。
今まで何度もあったからだ。
トン、と大地を蹴り、燐に倒された悪魔の元にいき、ぶざまな姿を覗き込みながら、言ってやる。

「あなたは馬鹿ですかー。燐が実力もなくただちやほやされているだけで今の地位に就いたとでも思たんですかねー。あーもう本当に馬鹿ですね」

倒れた悪魔は、自分を見下ろすその存在を見たことがあった。


地の王アマイモン。


強大な力をもつ、王のうちの一角。

「ア、アマイモン、さま?」

無表情のアマイモンが、下げずむように言った。
その言葉に、重傷を負い、最早消えかけた悪魔はぞっとした。
アマイモンの言う事が本当なら、自分達はとんでもない存在を相手にしたことになる。
そしとまた思う。アマイモンの言うことは紛れもなく真実なのだと、自分達の身をもって感じた。
倒れた伏した悪魔がもう終わりかと絶望にうちひしがれていると、そこに場違いな声。

「あーっ!ちーちゃん!なに!?ちーちゃんまでどうしたの」

着物を着た人間の女がアマイモンに向かって親しそうに手を振っている。

「あ、しえみ~。こんにちは~」

アマイモンもまた先ほどの冷たさとは一転、無表情ながらも嬉しそうだ。もしや、あの柔らかそうな人間の女を人質にとればこの場を切り抜けられるかもしれない。最後の力を振り絞り、悪魔は小さな少女に狙いをつけたが動く前にアマイモンの靴底が悪魔の腹をぐいと踏みつけた。

「何をしようとしていたか、だいたい想像がつくな。しえみを人質に逃げようなんて、この僕が許すはずないのに、おまえは本当に馬鹿だなあ。そうそう、さっきの続きだけど、燐はですね、一応僕たち――八侯王全員、ガチで勝負して倒してから、今の地位に就いてるんですよ。発表は嘘だと思いました?僕たちが手加減したとでも思ってましたか。ま、あんなふざけた番組見てたら強さを疑うのも無理はないと思いますけど、燐は本当の本当に、僕ら八侯王より強かったわけですよ」

ずがっと悪魔の腹を蹴りつけとどめをさしたアマイモンがその力をもって息たえた悪魔を消し去と、メフィストがちょっと待て、と厳しい声でアマイモンを呼び止めた。

「アマイモン、ふざけた番組とは何ですか。あれはとても素晴らしい番組ではないですか。ふざけた番組とか言う最後の一言は余計だ。やはりおまえには萌えの再教育が必要ですね。ところで燐。どさくさに紛れてどこに行くつもりですか」
「ぎゃっ!」

どさくさに紛れて現場からとんずらしようとしていた燐は、メフィストが繰り出
したメッフィー特製捕獲縄に縛られながらびくりと身体を震わせた。
逃げようとしたが、目の前にはいつの間にやらにこやかな表情をしながら怒っているらしい獅郎。

「せっかくの父娘の再会なのに、燐はどこに行こうとしたのかな~」

口調は優しいが、獅郎は怒っていた。
獅郎は燐が虚無界からしばし物質界に来ていたことを知っ
ていた。そして、燐に会いたいのをずっと我慢していた。本当なら会って、そんなに我慢しなくていいと言って抱きしめてやりたかった。意地っ張りで寂しがり屋の娘にそう言ってやりたい。おまえが帰るべき場所はちゃんとあるからと。待っているからと言いたかった。
獅郎は、燐がどんなものを犠牲に虚無界の女王になったのかは知らない。メフィストに色々聞いてはいたが、それはただ聞いただけの情報。そこに至る道のりで燐が何を感じ、何を思ったかはわからない。それでもわかることはある。燐が、必死で戦ってきたのは自分達を守るためなのだ。
燐は優しい子だ。
悪魔の子と言われながらも、本当の本当は燐がとても優しいことを知っている。
娘を最後まで守りきることが出来なかった情けない父親のために、虚無界で頑張っていた燐。弟を悪魔の魔手から守るために力を尽くしていた燐。友人達を守るために必死で戦っていた燐。
燐はたった一人、友人も家族もいない場所に行っても、この物質界にいる友人や家族を守るために戦い続けた。
小さな身体で守るためにずっと戦い続けたが、燐のことは誰が守るというのだろうか。


燐は、強い。


今の燐は、どんな敵も退けることが出来るくらいに強い。
それはわかっているのだが、獅郎はまだ燐を守りたいと思う。
燐は獅郎の大切な娘だから。
獅郎は娘に守られていた父親で、あの時辛い選択をさせてしまったか。だからこそ、燐や獅郎や雪男が失った時を。心の空白を、今からでも埋めたい。
十分に強くなった燐。
だが、獅郎が守りたいものは、燐の身体だけではなく、心もだ。
一見荒縄のように見えるが、燐の心は繊細で傷つきやすい。そんな燐の心を守りたい。

さみしがりやで弱音を吐かない意地っ張りな娘は、本当はあまったれのさみしがりやのくせに、いつも大丈夫と意地をはる。


悪魔でも何でも、燐は獅郎にとって、大事な娘。



3年間虚無界に取られていたが、もう返してもらってもいいはずだ。
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