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TOP青の祓魔師女王陛下の悪魔退治11


女王陛下の悪魔退治11
続き


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燐はふるふると首をふる。
黒いフードが頼りなくゆれて、顔が下がる。
虚無界に行ってからは、誰かがいたらいつだって顔を上げていた。
下を向いてはいけないから、傲然と顎を上げ迷いなくまっすぐ進んできたのに、決意がぶれてしまう。
無理だ。戻れない。そう思う燐に、獅郎は明るく声をかける。

「気にすんな。そいつらちゃちゃっと片付けて帰ってこいよ」

大丈夫だから。

そう言われた気がした。そして燐はそれが獅郎の優しさだと知っている。彼は一度懐に入れたものは決して見捨てない。ずっと燐を見捨てなかったように、今もまだ燐を見捨てられない。
涙が出そうになる。
燐と獅郎の会話を聞いた生徒達は二人を交互に見つめ、どういう関係かを聞きたいが、黙っていた。
雪男は知っているような顔をしているが、他の生徒には何もわからない。彼女がわざわざ自分達をかばう理由も、何も。
そんななか志摩がつるりと口を滑らせた。

「えっ?えっ?藤本先生とこの美人女悪魔と知り合いなんですか?」

志摩の言葉にはっと我に返った勝呂は、敵ではないらしいと判断した女悪魔――燐に向かってぐいと身体を乗りだし、大声で怒鳴る。

「なら、聞きたい。知ってたらでいいから教えてくれ。友達に、奥村燐ってやつがいる。そいつが消えたんだ。3年前に。悪魔にさらわれたかもしれない。おまえ、悪魔なんやろ、なら、知ってたら教えてくれ!奥村燐ゆうやつのこと、知らんか。噂とか聞いたことないか」

勝呂が必死で叫んだのは、サタンのことではなかった。あれほどサタンを倒すと息巻いていた勝呂だ。サタンに関係していると見えるものに会ったら、真っ先にサタンの弱点でも聞いてくるかと思えば、勝呂が聞いたのは、燐のこと。
3年前、勝手に消えた燐のことだった。
フードの下、燐は息を飲んだ。まさかここで自分の名前が出てくるとは思わなかった。
勝呂とは、しょっちゅう喧嘩をしていた。でも、いいやつで、燐は何だかんだで勝呂たちとつるんでいた。
勝呂は、まだ燐を忘れていなかった。消えた燐のことなど普通は諦めるはずなのに、勝呂は今ここにいる女悪魔に燐の行方を聞いた。
見られたくない。
心底そう思った。
今の自分の姿。悪魔と化したこの姿を見たら、勝呂はどう思うだろうか。
もう友人と思ってはくれないだろう。なら、勝呂のなかにある奥村燐はずっと人間の、勝呂の友人奥村燐であるべきだ。


ありがとう。


心のなかで勝呂に礼を言い、燐はすっと息を吸った。

「勝呂、奥村燐のことは、諦めろ。そいつは最初から存在しないものだ」

女悪魔のその言葉で、勝呂は彼女が奥村燐を知っていることを確信した。運がいいことに、自分は当たりを引いたようだ。
隠しているなら絶対に聞き出したい。
諦められるようなら最初から捜さないし、聞かない。

「だあほ!諦められるかボケ知ってるんやったら教えや!」

暴れ出しそうになる身体を抑え、ふざけんなと叫ぶ。
本当にふざけんなだ。友人が消えたのだ。ずっと探していた。子供の力なんてたいしたものではないけれど、エクソシストになれば捜すことが出来ると思っていた。
勝呂の目的はサタンを倒すことと、行方不明の友人を見つけだすこと。パラディンである藤本獅郎ですら燐の行方に関しては口をつぐんでいたし、奥村雪男もだった。何かを知っているようなのに、自分達には何も教えてくれない。
けれど、ここに手がかりを見つけた。友人に関する手がかり。
絶対に聞き出す。
女悪魔を睨み付ける勝呂に、子猫丸がため息をついた。

「ぼん、やっぱり奥村君のこと、探してたんや」
「そらそうやろ。なんやゆうてあの二人、仲良かったし」

志摩が子猫丸に同意すると、なかなか動こうとしない祓魔塾の面々とその教師を燐はフードの下から怒鳴りつける。

「とにかく、おまえらは避難しろ。近くにアマイモンがいる。そいつに護衛させるから危険はない」

燐の口から出たその名前に、志摩と勝呂が聞き間違いかと目をぱちぱちさせ、子猫丸があんぐりと口をあけながら、震える声できいた。

「あの、あの、アッ、アマイモンって、あの八侯王のアマイモンでっか。なんでそない大物が」

あわあわしている子猫丸と呆然としている雪男。
一体この数年で姉の何があったのか。思えばあのフード付きマントもあやしい。
もしや今名前が出たアマイモンと喧嘩でもして二目と見られないような容姿になったのだろうか。それでも僕は姉さんが好きだ。
勝手にことを思っていた雪男の思考を遮るように、声。
低く響きのよい声には聞き覚えがある。

「それはですねぇ。八侯王バール、アマイモンが彼女の部下だからですよ」

子猫丸の質問に答えたのは、彼等も知る顔だった。
どこからともなくいきなり現れた彼は聖十字騎士団日本支部支部長、メフィスト・フェレス。

「フェレス卿!?」

雪男は驚きの声を上げる。彼がこんな現場に、それもエクソシストにもなっていないひよっこの演習に来るなどまずないことだ。驚くのも無理はないが、獅郎は当たり前のような顔をして、よう、とか挨拶をしている。
メフィスト・フェレス。祓魔塾の面々は近くで直接目にし
たことはないが、獅郎と雪男にとっては馴染みの顔。
そのメフィスト・フェレスが獅郎と挨拶を交わした後、フードの女性にひらひら手をふって、決めセリフ言わずに結界はったらダメじゃないですかとわけのかわらないことを言っている。

決めセリフって、なに?

獅郎とメフィスト以外のエクソシスト組は皆思ったが、追求したらただでさえ混乱気味のこの場をもっと混乱させる気がして口をつぐんだ。
メフィストの言う事が正しいのなら、フードの女悪魔はサタンクラスの大物ということになる。確かにサタンを示す青い炎がるし、力もそれなりにあるようだ。
だが、サタンクラスの悪魔を顕現出来る器などそうそうあるはずがない。
京都組と出雲が考えるなか、雪男は何かを知っているようなメフィストに問い詰める。

「アマイモンが部下!?なぜあなたが知っているんですか。それに、アマイモンの上にはサタンしか‥‥」

八侯王の上にはサタンしかいないはず。なら、八侯王アマイモンを従えている燐は一体今、何者であるというのだろうか。
雪男はぶるりと身体を震わせてから、ぐっと拳を握りしめる。燐が例え何であってもかまわない。
ずっと捜して、求めていたのだから燐が燐であるなら、どうでもいい。
メフィストはじっと雪男を見る。燐のことでも考えているのだろう。こいつは昔から燐燐燐燐とまあ言えば普通にシスコンだった。本人は燐相手に普通に振る舞っていたが、明らかにシスコンだ。燐も雪男には甘いので、雪男のシスコンは加速する一方。そんな雪男の前から燐が消えて、雪男の燐信仰のような感情はより深くなった。
こういう感情は、見ていて面白い。
基本的にカランとした燐と、鬱々と考えこみ自分を追い詰めていく雪男。対称的な姉弟だ。
メフィストがさっき言ったアマイモンに関しては、部下というより実態はマネージャー兼何でも屋に近いのだが面倒なので適当に部下と言っただけ。アマイモンからも特に文句は出ないし。アマイモンが燐の何であっても誰もどうでもいいことだ。

「ま、そんなことはどうでもいいではないですか。それより避難はしないんですか。このままだと見たくないものを見ることになるかもしれませんよ。今は結界内に悪魔を封じて状態ですが、それを解くと一気に戦闘になりますよ。彼女の力は強大なので、戦闘余波で危ないですし」

避難するなら今のうちですよとやる気なく避難を勧める。
避難してもしなくても彼等は守ることになるのだからメフィストは別にどちらでもいい。単に燐が嫌がるか嫌がらないかの問題というだけだ。
はーい、帰るならこちらですよーと蛙のプリントされた旗をふりふりふっておく。
メフィストはここに残るが、避難する人はすればいい。
ここにいればいい画面が撮れそうな気がする。超メッフィー大作の予感だ。

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