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TOP青の祓魔師女王陛下の悪魔退治10


女王陛下の悪魔退治10
続き

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ここにいる皆、昔からの付き合いで言うなれば幼なじみだ。幼いころはよく遊んだ。ここにあと一人、今はもういない奥村燐がいたら昔一緒に遊んだ面子は揃うが彼は三年前に行方不明になってしまった。
男の雪男に聞いても、養い親の獅郎に聞いても、燐がどうして行方不明になったのか、教えてくれなかった。
勝呂やしえみは燐ととても仲がよくて、二人は未だに燐はいつか帰ってくると信じている。それは雪男や藤本も同じだったのだろう。戻ってこない燐が死んだとは、誰も言わなかった。
あの出雲だって、あいつのことだから平気な顔してひょっこり戻ってくるに決まってるわと言っていたし、勝呂も、いつかひょっこり帰ってきたら、心配させたぶん、ぶん殴ってやると強がっていた。
彼がここにいたら、どうしただろう。ふと、そう思った。そしてどこかひっかかりを感じる。
なつかしい感じがしたあの気配、それが掴めそうだと思った瞬間、パン、と藤本が手を叩いた音がして、掴みかけた何かが志摩のなかで霧散した。

「よし!わかった。じゃあ皆逃げろ。大丈夫。逃げる途中は安全だ。ちゃんと護衛がきてるしな。ちなみに俺はここに残るから、皆で先に帰ってろ」

獅郎は護衛が来てると言うが、そんなもの、影も形もないしどこにもいない。なのにやけに自信満々に大丈夫と言い切った。
獅郎が大丈夫と言うのなら、自分達だけで避難しても大丈夫なのだろうが、勝呂も志摩も、子猫丸も、どこか釈然としなかった。なにかが引っかかる。
見逃してはならない何か。
黒マントの女性は青い炎の結界をはっている。フードに隠されたた顔では何を考えているのか読み取ることは不可能だ。
知りたい。京都組三人がそう思っていると、雪男が動いた。

「僕は帰りませんよ」

はっきりと告げる声に獅郎は仕方がないとため息をつく。

「雪男。そうか、帰らないか。だがな、これから何を見て、何を知っても絶対に驚くなよ」

雪男の瞳をまっすぐに見据え、重々しい声で真剣に言うと、横から勝呂が口を出してきた。

「ちょう待ちや!自分らだけなんやずるいんちゃうか。俺も残る。なんやこのサタンっぽい炎のねーちゃん、俺ら守ってるみたいやし、サタンに近いんやったら聞きたいこともあるし。いや、サタンにちこのうてもええ。どうしても聞きたいことがあるんや」

ここは絶対引けへんで。
獅郎に雪男だけでなく勝呂まで居残ると言い出した。
燐はチッと舌打ちする。こいつらはアホか。それと勝呂はまた聞き捨てならない事を言った。燐に対する禁句。

「ちょっと待て勝呂!だからサタンっぽいとか言うな。それにあんなやつとは近くねーよ。むしろ遠い。永遠に遠いに決まってるし、あのド腐れ変態ジジイと一緒にされるなんて屈辱だ!それとそこで居残る算段すんな!はやくいけっつってんだろ。ジジイもさっさとそいつらを連れていけよ。こんなとこでまったりやってないで、そいつらを守って、行け。ここは俺が何とかするから」
「いやだ。だって俺がこいつら連れて避難したら、おまえはそのマントを取って、すぐにそいつら片付けて速攻逃げるだろ。マントを取らないと、使えないもんな。俺はな、ずっと待ってたんだ。おまえがこっちに帰ってきて、いつ来てくれるのかって、ずっと。なのに全然来てるくれる気配もないだろ。やっと、やっと会えたんだ。絶対に逃がさないからな。不良娘が勝手に家出しやがって。家に帰ったらお尻ぺんぺんだぞ」

お尻ぺんぺんと冗談混じりに言われたが、燐は昔のように怒って突っかかることが出来なかった。

獅郎は燐だとわかっていて、帰ってこいと言っている。

悪魔になった燐なのに、帰ってこいと言ってくれた。かつてと同じように燐相手に何ということもなく話しかけて、語りかけてくれる。

嬉しい。
とても、嬉しい。
例え嘘だとしても、嬉しい。
燐は、獅郎や雪男になら消滅させられてもいい。


愛情をもって燐を育ててくれた獅郎。
一緒に死のうと言った雪男。


面と向かって言ったことは多分ないけど、二人とも、大好きなひと。
帰りたい。ずっと望んでいた。
会いたい。ずっと飢えていた。
獅郎がどうして燐の行動を詳細に知っているのかはわからない。しかも獅郎は燐がマントを取らなければしっかり戦えないことまで知っている。
獅郎に燐の情報を流しそうな存在が、燐のそばには一人だけいる。
メフィスト・フェレス。
獅郎の友人だという燐のプロデューサー。
彼が燐のことを獅郎に話していたのだろうか。
なら、獅郎にはわかるはずだ。
燐が帰れないこと。
悪魔であることを選んだ燐は、大切な人のそばにいられないこと。特に、エクソシストである獅郎や雪男のそばにはいられない。
燐のことがヴァチカンに知れると二人は厄介な立場に追い込まれる。特にパラディンである獅郎はまずい。燐と関わること自体、獅郎にとってはマイナスでしかない。
だから、燐はいけない。
大事な人達の足を引っ張りたくないから、我慢する。今までと一緒だ。でも、獅郎が帰ってこいと言ってくれたから、今までよりずっと頑張れる。
でも、帰りたいのに帰れない燐は、獅郎に何とこたえていいのかわからない。

「っ、‥‥‥獅郎‥‥でも、俺は‥‥」


悪魔だから、足を引っ張るから、迷惑をかけるから―――虚無界の女王になってしまったから、帰れない。


それが燐の選んだ道。あの時した選択のこたえ。
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