FC2ブログ
TOPスポンサー広告恋の歌 始まりの歌3


スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ:スポンサー広告
TOP百合ヒバツナ恋の歌 始まりの歌3


恋の歌 始まりの歌3
百合ヒバツナ
シリーズメインタイトルは「恋の歌」
オフで完結済み。完売後再録集に番外と一緒に収録。
再録集のお取り扱いはバードEXになります。
こちらはweb版となります。
-------------------------------------------------



ツナがひたすら“雲雀恭弥”の事を話しながら二人でとりとめもなく歩いていると、大きく開けた場所に辿り着いた。まるでステージを思わせるようなその場所で、雲雀は少しの気まぐれを起こし、目の前の階段を軽やかに昇り、頂上までいって、宙を見上げる。
見上げた宙は、暗い、ニセモノの宙。
その暗い宙に戦闘機が飛びかい、暗いなかに鮮やかな光の線が走る。
戦闘機を見て思い出すのは兄のこと。ツナのたった一人の家族。
「キレイだね」
戦闘機の光に彩られた宙に気を取られ、ぼんやりとしていたツナに、雲雀が言った。
ツナは同じように宙を見上げている彼女の言葉を拒絶するかのように下を向いて、物思わし気に息を吐く。
たしかに彼女の言う通り、宙を彩る光はきれいだ。でも、この光景はいつまでたっても好きになれない。ツナを不安にさせる。
綺麗だけど・・・・・。

「でも……」

好きじゃない。
口には出さなかったが、勘の良さそうな女性はすぐにツナの思いを覚ったようだ。

「もしかして知り合いに飛行機乗りがいるの?」

その通りだったので、ツナは緩慢な動作で首を縦に振った。

「ディーノお兄ちゃん……。兄が、昔。今は事務の仕事だから安心なんですけど………でも………」

不安は尽きない。いつ兄が宙にさそわれてツナを置いて一人で飛び出して行ってしまうのかと思うと、わけもなく不安になる。
ツナを一人にするのが大嫌いな超シスコンの兄がツナを置いて勝手に行ってしまうなんてあるわけないのに、どうしてか不安になる。
雲雀に背を向けて宙を見つめ、不安に瞳を曇らせ悲しそうに言うツナを我知らず優しく包み込むような瞳で見つめながら、この子にこんな顔をさせるなんて、その兄、今度会ったら咬み殺してやろうかと考えたが、今こうして悩む少女は兄が怪我をしたらきっととても悲しむだろうと思い、ぐっとこらえることにした。この自分が何かをこらえて我慢するなんて、珍しい。今日は雲雀にとって今までにない珍しいことばかりだが、悪い気分ではなかった。
この子を見ると、胸がざわめき落ち着かなくなる。でも嫌な感じのざわめきではなく、どきどきするような、わくわくするような、浮き立つようなざわめき。
この可憐で可愛らしい少女をずっと見ていたいという思いのまま雲雀が少女を見守っていると、彼女は胸元に右手をおき、祈るように、何かに耐えるようにして、そっとうたいだした。
ツナが静かに歌いだしたのはほかでもない、雲雀恭弥の歌、ダイアモンドクレバス。
思いを込めてツナは謡う。
憧れて止まない人の歌を、飛び交う戦闘機を見つめながら。
せつなくさみしい。心が苦しい。歌から伝わるのは、そんな思い。
ただじっと謡うツナの背中を見つめていた雲雀だったが、ツナの歌を聴いていると、無性に歌いたくなってきた。この寂しく悲しい孤独ともとれる歌声に自分の声を重ねたい。声を重ねたらどうなるだろう。
一度意識してしまうともう止まらない。元々自由人な雲雀だ。
思ったら即実行する雲雀はくるりとツナに背を向け、宙を見ながらツナの声に重ねあわせるように、絡ませるように、自分の歌を口にする。
何だろう、この少女の声と自分の声を重ねるのは気持ちがいい。そう思ったのに、少女が突然歌をやめた。

「えっ! うそっ!」

少女の驚く声が聞こえた。それはそうだろう。今ここで歌っているのは彼女の憧れの歌手なのだ。でも、つまらないと思った。彼女は歌うのをやめてしまった。
なんだ。残念だな。そうは思ったものの、一度歌いだしたならワンフレーズは歌いきろう。そう思って今度は一人
で歌う。少女に合わせることを考えず、ただ自分の声と、リズムこんなに寂しい場所で、ギャラリーなんて一人きり。いつもの自分なら決して歌わないだろうステージとさえいえないような空間。それなのに、いつもよりも気持ちいい。
ツナは振り返り、階段の上、自分よりもはるか上にいるその人を見つめる。
自分のペースで歌いだしたのは、間違うはずはない、雲雀恭弥。彼女の声だ。
張りがあり伸びやか。繊細でありながら、どこまでも華やかで深みがあり、心に染み渡る声。
そう、聞き間違うはずがないのだ。
何度も何度も聞いた。
あこがれて、おいかけて、でも永遠に追いつけない人。
銀河のすべてを魅了する妖精。


彼女が、いた。


ツナの背を向けて歌っている、手の届かない、遠くに居るべきひと。
ひびく、こえ。
それは彼女の歌声。
うたう、そのひと。
常にステージの上に君臨する、女王。
華麗なパフォーマンスと絶対者の歌声で銀河にその名を轟かせているその彼女が、こんな場所で、歌っている。
ツナしかいない、この場所で。
スポットライトひとつない、この場所で。
たった一人の観客しかいない、ここで。


“銀河の妖精“雲雀恭弥が、その稀なる声で、歌って、いた。


じっと、ただじっと、ツナは階段の上に立つその人の後ろ姿を見つめた。
見つめることしか出来なかった。
圧倒的なまでの歌唱力。胸をえぐるような存在感。
先程まで気軽に喋っていた。
そばにいた。
手を伸ばせば、触れられる程近くにいた。
そう、本当に近くに……。
それが、その事実が信じられない。
ツナがじっと見つめるなかワンフレーズを歌い終わった彼女、雲雀恭弥が見上げていた宙から目線を落とした。
しんと、いきなり静かになった広場に、戦闘機の音だけが響く。先ほどまでまったく気付かなかった、気にならなかったその音が、今はごうごうと響いている。


「……きょうや…」


目の前にいるはずのその人の姿が信じられなくて、ツナは口に手を当てながらその人の名を呼ぶ。
満員のステージでしか歌わない、誇り高い歌姫。
ここにいるのは、ツナ一人のはずなのに、歌をきいた。
夢?それとも偽者?そう思ったけれど、見つめる後ろ姿は間違いなく彼女のものだと思う。帽子とサングラスで顔はわからなかったけど、でも歌声は間違いなく彼女のもの。あんな声で、あんな心に響く歌をうたえる人が、彼女でなくて何だというのだ。
ツナがその後姿をじっと見つめる中、彼女がゆっくりと振り返る。
ちゃりっ、と耳飾りの揺れる音。
そう、耳飾り。
どうして気付かなかったのだろうか。彼女はいつでもあの耳飾をしていた。どんな衣装にも、同じもの。でもあれと同じデザインのものはファンの間でけっこう作られていて、偽物だってそれなりに多いので気にもしなかった。あんなにも存在感のある人が一般人などであるはずがないのに、自分はどれだけ鈍いのだろうか。ぼんやりとして自分を罵りながらツナはひたすらに見つめる。
手の届かない高みにいるはずの彼女が振り返り、ふっと笑ってツナを見つめ、優雅に首を傾けた。

「こんなサービス」


帽子とサングラスをはずして、冴え凍る泉のような美貌をあらわにし、しっかりとツナを見すえる。


「滅多にしないんだからね」


軽やかな声でそう言う雲雀に、ツナは口元を手で覆い、息をのんでその人を見つめた。
素顔のその人。メイクなんてしなくても充分すぎるほど美しい。むしろメイクしないほうが美しいのではないかと思う奇跡の美貌。間違いなく雲雀恭弥。
あこがれの人に見つめられ、そして生歌を聞いてしまったその事実と、今まで本人相手に散々雲雀恭弥について訳知り顔で語っていたという恥かしさ。そしてずっと一緒にいたのだという事に焦りがこみ上げ、羞恥と緊張と歓喜、色々な感情がごっちゃになって、頭に血が上る。心臓がありえないほどの鼓動を打ち、どくどくとうるさいくらいがなりたてる。頬がみるみる間に赤く染まるのが恥ずかしい。でも止められない。


雲雀が、ツナを見ている。


ツナだけが一方的に見ているのではなく、雲雀もツナを見ているのだ。

こんなの、夢でもありえなかった。

闇のようでありながら、どんな光より輝く漆黒の瞳でじっと、ツナだけを見つめている。


漆黒と琥珀の視線が絡み合う。


それは、はじまりの合図。





ふたりの始まりを告げる、始まりのうた。



スポンサーサイト

カテゴリ:百合ヒバツナ
テーマ:家庭教師ヒットマンREBORN!! - ジャンル:アニメ・コミック
Back | Top Page | Next
Comments
2008/06/28
from ヒツジ #- URL
こんにちはッ。
もう何とお礼を言えばいいのか・・・・
ご馳走様でした!!!!!!
「僕は雲雀恭弥だよ」のとこが最高にツボっす
そしてツナがかわいいっすww
リンさんのマクロスパロの話を読んでから、
アニメを見ていてもランカがツナに見えて仕方ないです、はい。

ギアスの小説も読ませて頂きました!!
ルルのことが大好きなユフィ・・・かわいっすw
ルルはみんなに愛されていればいいと思います!!!
こちらも続きが楽しみです(*´艸`*)
2008/06/28
from 浅田 リン #- URL
ヒツジさんへ
ありがとうございます!
ヒツジさんのコメントにはいつも本当に励まされます。
ヒツジさんが見てもいいと言ってくださらなければ、この話書いてませんでした。
百合ヒバツナは出会い編をもうかなりに大量に加筆して明日、あさって位にサイトにUP予定なのでよければそちらも見て下さい!
しかし、百合は書いてて楽しいです。
ギアスも楽しんでもらえてよかったです。

コメント投稿













管理者にだけ表示を許可する


Trackback

FC2ブログユーザー専用トラックバックURL


| Top Page |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。